全日本空輸株式会社(代表取締役社長:井上 慎一、以下「ANA」)は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(理事長:細野 哲弘、以下「JOGMEC」)と「2022年度 航空機等による温室効果ガス測定技術調査」に関する委託業務契約を締結いたしました。
近年、気候変動問題に対応するための脱炭素化への動きが世界的に加速する中、温室効果ガスの中で地球温暖化係数が25倍以上となるメタンの排出削減は、JOGMECは2022年5月に公表した「LNG・水素・アンモニアの温室効果ガス排出量及びCarbon Intensity算定のための推奨作業指針」において、トップダウン手法として衛星・航空機・ドローン等の導入の重要性を述べており、トップダウン手法による測定が期待されています。
本共同調査では、ANA及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)にて、従前より実証検証を進めてきたリモートセンシング技術を用いた航空機からの温室効果ガス測定手法(注1)のノウハウを活用し、航空機を改修することなく地表面のメタン測定を可能とする手法に取り組みつつ、ドローンを用いたトップダウン手法によるメタン測定手法にも取り組む予定です。
ANAとJOGMECは本取組によって、未特定のメタン排出を防ぎ、報告されるGHG排出量の検証手法として期待されるトップダウン手法を社会実装することを目指します。
注1:
ANAの持株会社であるANAホールディングス株式会社では、2020年9月よりJAXAと共に都市域における温室効果ガスの排出量を、交通・産業などの発生源別に評価することを目指し、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)※ 2の観測技術を応用した観測機器を旅客機へ搭載し、温室効果ガスの観測・解析(GOBLEUプロジェクト)※ 3を行っています。
■GOBLEUプロジェクトの目的
温室効果ガス排出量削減のための情報として、都市域における温室効果ガスの排出量を、交通・産業などの発生源別に評価・可視化すること。
■ 航空機で測定する目的・効果
2009年に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は高度666kmから正確にCO2濃度を測定することができます。しかし、観測点1点が直径10km程度と空間分解能が十分でないため、広域の排出量は推定できても、発生源別の評価は難しいという課題があります。
一方、旅客機は、人工衛星よりはるかに地表に近い高度10km以下を飛行するため、より細かなデータが得られるものと期待できます。
このように人工衛星と旅客機の特徴を組み合わせることで、新たな価値を創出できると期待しています。
※1 トップダウン手法とは、衛星やドローンを用いて「上空」から温室効果ガスを測定する手法のこと。
※2 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)https://www.jaxa.jp/projects/sat/gosat/
※3 Greenhouse gas Observations of Biospheric and Local Emissions from the Upper skyプロジェクト
「GOBLEU」は「ゴーブルー」と読む。 本取り組みは2020年(令和2年)9月28日にプレスリリースを実施
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